【専門家が解説】「睡眠外来」でできるいびき治療のすべて:根本から解決する選択肢


「いびき」は単なる騒音問題ではなく、**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**という深刻な病気のサインかもしれません。市販のグッズで効果がなかったり、日中の眠気や倦怠感が続いたりする場合は、専門的な治療を受けるのが最も確実な改善策です。

睡眠外来いびき外来では、いびきの原因を正確に突き止め、その重症度原因に合わせて、医学的なエビデンスに基づいた適切な治療法を提供しています。

ここでは、睡眠外来で受けられる代表的な検査と、いびき・睡眠時無呼吸症候群の治療法をわかりやすく解説します。


最初に受けるべき検査:いびきの「重症度」を知る

睡眠外来を受診すると、まずいびきが病気につながるかどうか、そしてその深刻さを判定するための検査を行います。

1. 簡易睡眠検査(簡易ポリソムノグラフィー:PSG)

  • 概要: ご自宅で就寝前に簡易な検査機器(手のひらサイズの機械や指センサー、鼻の呼吸センサーなど)を装着して眠る検査です。

  • 目的: 睡眠中の無呼吸低呼吸の回数、血液中の酸素飽和度(SpO2)の低下を測定します。これにより、**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**の可能性と大まかな重症度をスクリーニングします。

  • 特徴: 入院の必要がなく、費用も比較的安価で手軽に受けられます。

2. 精密検査(終夜睡眠ポリソムノグラフィー:PSG)

  • 概要: 病院に一泊入院し、脳波や眼球運動、筋電図など約30か所にセンサーを装着して、睡眠の質をトータルで調べる精密検査です。

  • 目的: 呼吸の状態だけでなく、睡眠の深さ覚醒の頻度体の動きなど、睡眠中の体の状態を細かく分析し、SASの確定診断を行います。

  • 特徴: 簡易検査で診断が確定しない場合や、より正確な情報を知りたい場合に実施されます。


睡眠外来で選べる主要な「いびき治療法」

検査でいびきの原因と重症度が判明すると、医師は患者さんの状態に最適な治療方法を提案します。主な治療法は以下の3つです。

1. CPAP(シーパップ)療法:最も標準的な治療法

CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、重症の**閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)**の患者さんに対して、第一選択とされる治療法です。

特徴詳細
治療方法寝るときに鼻または口にマスクを装着し、装置から圧力をかけた空気を送り込むことで、睡眠中に塞がる気道(空気の通り道)を広げ、無呼吸やいびきを防ぎます。
効果いびきの解消はもちろん、酸素不足が改善されることで、日中の眠気や倦怠感が解消し、高血圧や心臓疾患などの合併症のリスク低減に大きく貢献します。
適応重症の睡眠時無呼吸症候群
保険適用医師の診断と基準を満たせば保険適用となりますが、毎月の定期的な受診と使用状況の確認が必要です。

2. マウスピース(口腔内装置)療法:軽度〜中等度に適応

歯科と連携して行う治療法で、軽度から中等度のいびきや睡眠時無呼吸症候群に有効とされています。

特徴詳細
治療方法歯科医師がオーダーメイドで作成する専用のマウスピース(スリープスプリント)を装着します。就寝中に下あごを少し前に突き出した状態に固定し、舌が喉の奥に落ち込むのを防ぎ、気道を広げます。
効果気道が確保されることで、いびきが軽減し、無呼吸の回数が減少します。CPAPと比べて小型で持ち運びしやすいため、旅行や出張でも使いやすいのがメリットです。
適応軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群(歯や口腔内が健康であることも条件)
保険適用一定の条件を満たせば保険適用で製作が可能です。

3. 外科的治療・レーザー治療:根本的な構造の改善

いびきの原因となっている上気道の物理的な狭窄(狭くなっている部分)を広げるための治療です。

A. 切開を伴う外科手術(UPPPなど)

  • 治療方法: 喉の奥にある軟口蓋や**口蓋垂(のどちんこ)**の一部を切除・縫縮することで、空気の通り道を広げます。

  • 適応: 扁桃腺が大きい、あるいは口蓋垂周辺の組織が緩んでいることがいびきの主な原因である場合に検討されます。

  • 特徴: 全身麻酔で行う場合が多く、入院が必要となることがあります。

B. 切らないレーザー治療(ナイトレーズ、パルスサーミアなど)

  • 治療方法: レーザーを軟口蓋などの組織に照射し、粘膜を引き締めてハリを持たせることで、気道を広げます。

  • 適応: 軟口蓋のたるみが原因のいびきに対して有効とされ、軽度から中等度のいびきに用いられます。

  • 特徴: 日帰りで施術が可能で、切開しないため痛みやダウンタイムが少ないのがメリットです。ただし、自由診療(保険適用外)であり、効果を維持するためには複数回の治療が必要となるケースが多いです。


治療と並行して大切な「生活習慣の改善」

どんな専門的な治療を受ける場合でも、医師は必ず生活習慣の改善を推奨します。これはいびきや睡眠時無呼吸症候群の再発を防ぐための根本的な対策です。

  • 体重管理(減量): 肥満は首周りの脂肪を増やし、気道を狭くする大きな原因です。適度な運動と食事改善による減量は、いびき対策の基本です。

  • 飲酒の制限: 特に寝る前のアルコール摂取は、筋肉を緩ませて舌根沈下を招き、いびきを悪化させます。

  • 睡眠姿勢の工夫: 仰向けよりも横向きで寝る方が、重力による気道の閉塞を防ぎやすくなります。

いびきは放置すると、高血圧糖尿病、さらには心筋梗塞脳卒中のリスクも高めてしまう深刻な健康問題です。まずは睡眠外来で正確な診断を受け、自分の状態に合った治療を見つけることが、健やかで快適な生活を取り戻すための第一歩となるでしょう。

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